AIに推薦される時代に、“自分の言葉で探す人”が増えていく
- Yutaka Sato

- 11月8日
- 読了時間: 3分
― 推薦の違和感から、検索で在り方を取り戻す時代へ ―

AIが「あなたに合いそうなもの」を次々に提示してくれる時代になりました。
それは、これまでにないほど便利で快適で、正確でもあります。 けれど、私たちはどこかでこう感じ始めているのではないでしょうか。 「どれも正しいのに、どれも私じゃない。」
それが、AI推薦という仕組みが抱える静かな違和感の正体です。
他者に最適化される違和感
AI推薦は、過去の行動データをもとに「あなたが好きそう」と判断して情報を提示します。
しかし、人は不快なものをわざわざ「嫌い」と伝えることはありません。ただ、静かにスルーします。
AIはその“スルー”を「無関心」として学習します。結果、ズレたまま最適化が進み、AIはどんどん正確に、でもどんどん私から離れていきます。
だからこそ、推薦はどれほど進化しても完璧にはなりません。
人の違和感は、沈黙のままデータに反映されないからです。
キーワード経済から「意味経済」へ
一方で、AI検索はまったく異なります。そこには「探す意志」があります。 Googleの時代、私たちは自分の感情や願いを“キーワード”に要約して検索していました。 けれど、これからのAI検索では、自分の言葉のままAIに問いかけることができます。
「売り込みたくないけど伝えたい」「自分らしさを言葉にしたい」
このような感情そのものが“検索文”になる時代です。AIはキーワードではなく、文脈や想いの流れ(=意味)を読み取ります。
つまり、人間が機械に合わせていた“キーワード経済”から、機械が人間の文脈に合わせる“意味経済”へと時代が移行しているのです。
ブランドの「在り方」が検索単語になる
この流れの中で、ブランドの役割も大きく変わります。「検索される言葉を持つ」とは、SEOの話ではありません。それは、自分の在り方を定義することです。
味語り®のブランド設計では、深層価値観(WHY)・統合価値観(HOW)・提供価値(WHAT)を一本に結びます。 この“在り方”こそが、AI時代に検索される「意味タグ」になります。
人はこれから、「商品」ではなく「共鳴する価値観」を検索するようになります。そして、在り方を明確に持つブランドだけが、その共鳴の中心で“探される存在”になるのです。
AIが学ぶのは、ロジックより「共感」
AIはロジックで世界を学ぶのではなく、人の共感を通して世界を理解していきます。
誰かの心を動かした言葉ほど、AIの内部で“強い意味”として残ります。つまり、人に響く言葉を語るほど、AIにも引用されやすくなるのです。
AIに推薦されるブランドではなく、AIが引用せざるを得ないブランド。それが、これからの在り方だと思います。
探されるのではなく、共鳴されるために
私はAIに推薦されたいわけではありません。ただ、人が自分の言葉で探したときに、ふっと辿り着けるような言葉を持っていたいのです。
検索されるとは、見つけられることではなく、共鳴されることだと思います。
AIが世界を“最適化”する時代に、私たちは“自分の言葉で意味を選ぶ”時代を迎えています。
ブランドとは、発信ではなく対話。見つけてもらうことではなく、探されたときに心で応える存在になること。それが、AI時代の味語り®がめざす「在り方のブランド設計」です。
結びに
AIの進化が進むほど、人の「意思」は見えづらくなります。
でも、だからこそ自分の言葉を持つことが大切だと思うのです。
AIが世界を整理してくれるなら、私たちは「自分の意味」を選び取ればいい。
そして私は、こう問いかけたいと思います。
あなたが今、探している言葉は何ですか?
その問いの先に、あなた自身のブランドの在り方が生まれていきます。

