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なぜヒアリングが必要なのか 事前記入だけでは見えないもの

  • 執筆者の写真: Yutaka Sato
    Yutaka Sato
  • 3月22日
  • 読了時間: 4分
なぜヒアリングが必要なのか
事前記入だけでは見えないもの

「ヒアリングでは、具体的に何をしているんですか?」

味語りのことを知っていただく中で、こう聞かれることがあります。

たしかに、事前に記入シートを書いていただくこともあるので、「それがあれば十分なのでは?」と思われるかもしれません。

でも実際には、記入シートだけでは見えないものがあります。

それは、その人がどんな意味でその言葉を使っているのかなぜそのテーマを大切にしているのか本当は何を届けたいと思っているのかという、“文脈”です。

味語りのヒアリングで見ているのは、表面的な情報だけではありません。その人の中にすでにある想いや価値観のつながりを、一緒に見つけていくことです。

今回は、ヒアリングで実際に見えてくるものを、5つに整理してみます。




1.同じ言葉でも、その人にとっての意味は違う

事前記入では、あるテーマが一言で書かれていることがあります。 でも、その言葉が一般的な意味で使われているのか、本人独自の意味を含んでいるのかは、文章だけでは分からないことがあります。

ヒアリングをすると、


  • 一般的な意味ではなく、もっと前向きな意味で使っていた

  • 課題解決ではなく、生き方の整え方として捉えていた

  • 世間の定義と本人の定義にズレがあった

といったことが見えてきます。

この違いが分かると、表現の方向性は大きく変わります。




2.伝えたいテーマの“温度感”が分かる

記入シートだけを見ると、強く見える言葉や誤解されやすいテーマが含まれていることがあります。 でもヒアリングをすると、それを伝えたい理由がまったく違う場合があります。

たとえば、

  • 主張したいのではなく、自然に伝わればいいと思っている

  • 誰かを変えたいのではなく、理解の幅が広がればいいと思っている

  • 前面に出したいのではなく、背景としてにじめばいいと考えている


そんなニュアンスが見えてくることがあります。

ヒアリングでは、何を言っているかだけでなく、どんな温度でそれを言っているかが分かります。




3.独自性の源が、肩書きではなく人生経験にあると分かる



最初は、資格や肩書き、実績が独自性の中心に見えることがあります。 でもヒアリングをしていくと、本当にその人らしさをつくっているのは、もっと別のところだと分かることがあります。

たとえば、


  • これまで歩んできた環境・複数の価値観に触れてきた経験

  • 違和感と向き合ってきた過程

  • 人には見えにくい立場で感じてきたこと

こうした積み重ねが、その人にしかない視点になっていることが多いです。

ブランドの核は、説明しやすい肩書きよりも、なぜその人がそのテーマを語れるのかに宿っていることがあります。



4.提供したいものの本質が見えてくる

事前記入では、サービスの形式が先に見えることがあります。 講座、セッション、ワーク、伴走支援など、形としては書けるからです。

でもヒアリングをすると、その人が本当に届けたいものは形式ではなく、もっと本質的な体験だと分かることがあります。

たとえば、


  • 知識を教えたいのではなく、安心して話せる時間をつくりたい

  • 正解を渡すのではなく、自分の言葉を見つける場をつくりたい

  • 一方的に導くのではなく、分かち合える関係性をひらきたい

こうしたことが見えてくると、サービスの見せ方も変わってきます。

ヒアリングは、何を提供するかではなく、どんな体験を届けたいのかを見つける時間でもあります。



5.ペルソナが“属性”ではなく“実在感のある人”になる


事前記入だけだと、ペルソナはどうしても抽象的になりやすいです。


  • モヤモヤしている人

  • 自信がない人

  • 変わりたい人


こうした表現は間違いではないけれど、まだ少し輪郭が曖昧です。


ヒアリングをすると、


  • どんな役割の中で自分を後回しにしてきたのか

  • どんな場面で孤独を感じているのか

  • 周囲には見えにくいどんな空白感を抱えているのか

  • 本当は何を言いたいのに言えずにきたのか


といった具体性が見えてきます。


ここまで見えて初めて、その人に届く言葉や、寄り添い方の方向性が定まってきます。




ヒアリングで見ているのは“答え”ではなく“つながり”


ヒアリングで起きているのは、単なる情報収集ではありません。

  • 言葉の定義が明確になる

  • 独自性の源が見えてくる

  • 提供価値の本質が見えてくる

  • ペルソナが立体的になる


こうしたことが、対話の中で少しずつつながっていきます。

記入シートだけだと、テーマは見えます。 でもヒアリングをすると、そのテーマの背景にある文脈が見えてきます。

そして、ブランドの軸やストーリーは、その文脈が見えないと深くは書けません。




味語りのヒアリングでしていること


味語りのヒアリングでしているのは、きれいな言葉を当てはめることではありません。


事前記入では見えなかった、


  • その人だけの言葉の意味

  • 人生経験とのつながり

  • 本当に届けたい価値


を一緒に見つけていくことです。

表面的な情報を整理するだけではなく、その人の中にすでにあるものを、対話を通して少しずつ輪郭にしていく。

ヒアリングは、そのための大切な時間だと思っています。

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