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価値観統合ブランディング:共感から始まるブランドの育て方

  • 執筆者の写真: Yutaka Sato
    Yutaka Sato
  • 4月27日
  • 読了時間: 9分

更新日:6月13日



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あなたの中にある“味”——

それは、あなた自身や会社が大切にしている価値観です。

 

その価値観を言葉にして表現できると、

「わかる」「共感する」「それって大事だよね」と感じてくれる人たちが自然に集まってきます。

 

やがてその共感は、つながりを生み、共鳴する小さなコミュニティとなり、

「このブランドだから選ぶ」という信頼の連鎖を生んでいきます。

 

こうして、価値観を起点としたブランド設計の流れが生まれます。この手法を、私たちは 「価値観統合ブランディング」 と呼んでいます。 

味語りの視点は、個人の体験や感性だけでなく、心理学・哲学・組織論などの学術的背景にも支えられています。

 

たとえば、以下のような書籍にインスピレーションを受けています:

 

『U理論』C・オットー・シャーマー著

未来からの可能性を受け取り、新しい自己と組織を創造していくプロセスを示した理論。

「変化は外から与えられるものではなく、未来の自分とつながることから始まる」という考え方は、味語りにおける“自分の価値観に向き合う旅”と深く重なります。

『なぜ人と組織は変われないのか』ロバート・キーガン著

人が変化に向き合えないのは「意志の弱さ」ではなく、「変化への願い」と「変化への無意識の防御」がせめぎ合っているから。

味語りで行う“価値観の言語化”は、この無意識の防御をそっとほどき、「本当の望みに沿った選択」を助けるプロセスでもあります。

『A Hidden Wholeness』パーカー・J・パーマー著

「真の自己」と「社会的な役割」の分離により、人は違和感を抱えるようになる——というテーマを扱った本。

事業承継の現場で生まれるモヤモヤの正体と非常に重なる部分が多く、味語りの「価値観の統合」というアプローチに深い示唆を与えてくれます。

📎 ご注意:書籍の内容はすべて、味語り®独自の解釈を加えた要約・紹介です。原著の表現とは異なる場合があります。



共感と感謝の循環
共感と感謝の循環

ブランディングとは、才能や天才性と同じように、自分の中にある“宝”を見つけ、それを宝として自覚し、言葉にして届けること。一見すると、ただ「これが私たちの価値観です」と伝えるだけに見えるかもしれません。しかし、その言葉にこそ、共感が生まれ、つながりが育まれていきます。 

まるで人が自然と友をつくるように、企業にも「その在り方が素敵だ」と感じてくれる、家族のような“友だち”が現れます。それが、ブランディングの本質です。​​​​​​​​​​​​そして、共感に支えられたブランドは、

もはや外部から磁力を加える必要がない状態になります。

 

つまり、「広告やテクニックに頼らなくても、人が自然と集まる状態」です。

これは、マーケティングに依存する“電磁石”から、

共感に支えられた“永久磁石”へと進化した姿とも言えるのです。



電磁石から永久磁石に変わる喩え
電磁石から永久磁石に変わる喩え

ブランディングは、価値観の可視化から始まる

「ブランディング」と聞くと、ロゴやデザイン、キャッチコピーを思い浮かべる方も多いかもしれません。

けれど本質は、自分たちは何者であり、何を大切にしているのかという「価値観」を、明確に言葉にすることです。

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この“価値観の言語化”ができてこそ、初めてそれが「らしさ」として伝わり、共感されるブランドになります。


従来のブランディングは、「過去の経験」や「これまでの価値観」に重きを置き、創業者の理念や歴史的な実績を中心にブランドの軸を築いてきました。しかし、これからの時代に求められるのは、“未来のありたい姿”を基にした価値観の創造です。

味語り®でも、過去の経験から価値観を引き出し、それを言語化することで、ブランディングの軸を作ってきました。


しかし、これからの時代は、未来からの価値観も同時に取り入れる必要があります。


たとえば、U理論が示すように、「未来の可能性を受け取り、今どうありたいかを感じる」ことで、

従来の延長線上ではなく、未来に向けた新しい価値観を言語化することが可能です。


このアプローチは、単なる「過去の傷を癒やす」ためではなく、未来の自分や企業のありたい姿に導かれる価値観の創造を目指します。

味語り®が目指す「未来型の価値観統合ブランディング」


1️⃣ 過去からのアプローチ

– これまでの経験や欠落感から価値観を引き出し、軸を言語化する


2️⃣ 未来からのアプローチ

– 「未来の自分」「未来の企業の姿」をイメージし、そこから価値観を創造する


3️⃣ 統合された価値観

– 過去と未来、両方のアプローチで引き出された価値観を統合し、唯一無二のブランドを設計


この二つのアプローチを掛け合わせることで、企業は「過去の強さ」を活かしつつ、「未来への進化」を促進する、しなやかで強いブランドへと成長するのです。




なぜ未来型の価値観が強いのか?


未来に向かう価値観は、成長と進化を前提にしています。

時代の変化に強く、これからの市場のニーズに柔軟に対応できる。

過去に縛られず、むしろ未来のビジョンが人々の共感を呼び起こすのです。



未来型の価値観創造:過去を癒し、未来を描く二つのアプローチ


従来の価値観言語化は、多くの場合「過去の出来事」や「欠落感」に基づくものでした。

これは、心の奥にある痛みや未解決の感情を癒やすアプローチとして、深い自己理解をもたらします。

しかし、未来に目を向けた価値観創造は、「自分が本当にありたい姿」「未来に何を残したいか」から生まれます。


未来型の価値観言語化は、単に過去の傷を癒すためではなく、未来のビジョンを具体的に描き、そこに向かうための原動力となります。

これにより、過去の重さから解放され、未来志向の共感と感謝の循環が生まれるのです。



未来型の価値観創造のメリット


従来の価値観の言語化は、過去の体験や痛みから見出された価値観を癒やし、理解するためのものでした。

一方、未来型の価値観創造は、「これから何を創りたいのか」「未来にどんな価値を残したいのか」というビジョンに基づいています。


これには、3つの大きなメリットがあります:


1️⃣ 変化への柔軟性が高い

未来志向の価値観は、時代の変化に順応しやすく、社会や市場のニーズに対してしなやかに対応できます。


2️⃣ 過去への執着から解放される

過去の欠落感や痛みをベースにした価値観は、時に足枷となり、挑戦への恐れを生むことがあります。

未来型の価値観は、「これからどう在りたいか」に焦点を当てるため、過去への執着を手放しやすくなります。


3️⃣ 共感を生むエネルギーが強い

「これから成し遂げたい未来」に共感する人々は、その想いを共有し、エネルギーの循環を起こします。

特に、ブランドとして未来へのビジョンを明確に打ち出すことで、応援者やファンが自然と集まり、コミュニティが形成されます。




未来型の価値観がブランドの磁力を生む理由


未来のありたい姿を軸にした価値観は、共感と感謝のエネルギーを生み出し、磁力のように人を惹きつけます。

それは単なる「過去の経験」ではなく、「未来へのビジョン」に向かうエネルギーです。


このエネルギーは、広告やテクニックに依存することなく、自然と人を引き寄せ、信頼の輪を広げていくのです。

未来の価値観に共感した人々が、そのブランドの応援者となり、循環を生み出す——

これが「味語り®」が目指す 未来創造型ブランディング の本質です。

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なぜ価値観がブランドの核になるのか?

この考え方は、近年の経営・社会思想の中でも重要なテーマとなっています。

🧭 サイモン・シネック(Simon Sinek)

「人は“WHAT(何をやるか)”ではなく、“WHY(なぜそれをやるか)”に共感する」と説いた“ゴールデンサークル理論”の提唱者。

この「WHY」とは、まさに企業や個人が大切にしている価値観そのものです。

彼にとってブランディングとは、価値観を言葉にして共有することに他なりません。

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🧭 パトリシア・アバディーン(Patricia Aburdene)

『メガトレンド2010』の中で、価値主導型の経済(Values-Driven Economy)の到来を予言。

「企業はどんな価値を持っているか」が、これからの時代のブランド選定基準になると述べています。

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🧭 その他、多くの研究「ブランドの価値観が消費者の共感・信頼・選択に直結する」と示されています。

たとえば——• 消費者は企業の倫理観に敏感で、たった一度の不正でも信頼を失う(Brunk, 2010)。• 倫理的なブランドは、好感・信頼・ロイヤルティを高める(Singh, Iglesias, Batista-Foguet, 2012)。• 消費者とブランドの価値観が一致すると、強い結びつきが生まれる(Tuškej, Golob, Podnar, 2013)。

このように、ブランドの「価値観の可視化」が選ばれる理由になるという知見は、今や欧州を中心に多くの研究で明らかになっています。 参考文献(抜粋)

• Brunk, K. H. (2010). Exploring origins of ethical company/brand perceptions. Journal of Business Research, 63(3), 255–262. https://doi.org/10.1016/j.jbusres.2009.03.011 Singh, J. J., Iglesias, O., & Batista-Foguet, J. M. (2012). Does having an ethical brand matter? Journal of Business Ethics, 111, 541–549. Does Having an Ethical Brand Matter? The Influence of Consumer Perceived Ethicality on Trust, Affect and Loyalty - Journal of Business Ethics • Tuškej, U., Golob, U., & Podnar, K. (2013). The role of consumer–brand identification in building brand relationships. Journal of Business Research, 66(1), 53–59. https://doi.org/10.1016/j.jbusres.2011.07.022​​

味語り®が大切にしているのは、“らしさ”を言葉にすること

私たちは、こうした世界的な潮流とも呼応しながら、価値観の言語化を通じて、“らしさ”が伝わるブランドを育てていくお手伝いをしています。

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あなたが本当に大切にしているものを、言葉にして届ける。

それだけで、人は共感し、自然と引き寄せられていきます。

「これが私たちです」「あなたのその想い、とても素敵ですね」「ありがとうございます」「こちらこそ、ありがとうございます」 

この、共感と感謝のエネルギーが循環するとき、ブランドは、外から磁力を加えなくても人を惹きつける“永久磁石”のような存在になります。広告やテクニックに頼る必要はもうありません。ただ、自分たちの“味”を、まっすぐに言葉で届けるだけで、自然な引き寄せが始まるのです。

 

そしてその背後には、「固定観念からの解放」という、もうひとつの大きな変容があります。

ブランディングとは、ただの見せ方ではありません。それは、自分たちを縛ってきた「こうあるべき」や「当たり前」に気づき、本当に信じたい価値観へと立ち返る旅でもあります。

味語りが言葉にするのは、あなたの中にある“自由”です。 

これこそが、味語り®が提唱する『価値観統合ブランディング』。

“価値観を核に据える”ことで、共感が自然と広がっていく——

そんな、新しいブランディングのあり方です。


 
 
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