第一想起とは何か― USPとペルソナを取り違えないために ―
- Yutaka Sato

- 12 分前
- 読了時間: 3分

「第一想起を取りにいこう」マーケティングの場で、よく聞く言葉です。
けれど、この言葉は“誰の頭の中で起きる現象なのか” が曖昧なまま使われがちです。
第一想起とは、市場で一番有名になることでも、多くの人に同時に思い出されることでもありません。
第一想起とは、あなたにとっての理想のペルソナが、ある文脈であなたのUSPを自然に想起すること。
この前提を押さえるだけで、ペルソナ設計もUSP設計も、迷いが一気に減ります。
第一想起は「誰の中で起きるか」がすべて
第一想起を「競合より先に思い出されること」と理解すると、話は一気に難しくなります。
でも、問いを一つだけ変えてみてください。
誰が、どんな場面で、誰を思い出すのか。
味語り®の考え方では、第一想起はこう定義されます。
理想のペルソナが、ある課題や状況に置かれたとき、迷わず“この人だ”と思い浮かべる状態
不特定多数の中で起きる必要はありません。たった一人の理想の相手の中で起きれば十分です。
USPとは「理想のペルソナとの約束」
ここで、USPの定義も整理しておきます。
USPは、
・他と違う強み
・目立つキャッチコピー
ではありません。
USPとは、理想のペルソナに対する「あなたにしかできない約束」です。 • どんな状態の人に
• どんな在り方で関わり
• どんな変化まで伴走するのか
この約束が明確なとき、ペルソナは比較しません。
選ぶ前に、心の中で決まっている状態それが第一想起です。
なぜ「パーフェクトカスタマー」を起点にしないのか
よく聞かれるのが、この問いです。
「最初からパーフェクトカスタマーを設定すればいいのでは?」
一見、合理的に見えます。でも、ここには重要な順番があります。
パーフェクトカスタマーは、設計の起点ではありません。
理由はシンプルです。
理想のペルソナとして丁寧に設計された存在が、結果としてパーフェクトカスタマーになる
という因果関係があるから。
正しい順番はこうなる
1. 理想のペルソナを設計する
価値観・文脈・大切にしているものを明確にする
2. そのペルソナに向けたUSPを定義する
あなたにしかできない約束を言語化する
3. 特定の文脈で、第一想起が起きる
比較が起きない状態になる
4. 結果として、パーフェクトカスタマーになる
つまり、パーフェクトカスタマーは「狙うもの」ではなく、設計が正しかった証として現れる存在です。
第一想起は「広げる前に、定める」
第一想起を取ろうとすると、つい「もっと多くの人に」「もっと広く」と考えがちです。
でも本当に必要なのは、その逆。
• 誰の第一想起になりたいのか
• どんな場面で想起されたいのか
• そのとき、どんな約束をしているのか
これが定まらないまま広げると、USPは薄まり、想起は分散します。
まとめ:第一想起は、設計できる
第一想起は、偶然ではありません。
• 理想のペルソナを定め
• その人との自分にしかできない約束としてUSPを定義し
• 文脈の中で自然に思い出される位置に立つ
この設計ができたとき、「選ばれる」のではなく「最初から思い出されている状態」が生まれます。
それが第一想起。そしてその延長線上に、パーフェクトカスタマーとの自然な関係が育っていきます。

