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AIに自己紹介を渡しても「自分らしい文章」にならない理由

執筆者の写真: Yutaka Sato
Yutaka Sato
9月5日
読了時間: 8分

AIに自分を知ってもらう前に、 自分は自分をどこまで知っている?

最近、何人かの方から似た話を聞きました。


AIに自分の自己紹介やプロフィールを渡して、文章や画像を作ってもらった。


出てきたものを見ても、別に間違っているわけではない。


文章としても、きれいにまとまっている。

でも、何か変。


しばらく眺めていると、

「なんか、自分らしい文章じゃない感じがする」

そんな違和感が残るという話です。


私は、この「何か変」という感覚がとても大切だと考えています。


なぜなら、その違和感はAIの文章力だけの問題ではなく、


AIが知っている「自分」と、自分が感じている「自分」の間にズレがある


ことで生まれる場合があるからです。


では、そのズレはどこから生まれるのでしょうか。




「何屋さんか」は分かっても、「なぜあなたなのか」は分からない


自己紹介を書くとき、多くの人はまず「何をしているか」を書きます。


たとえば、

  • どんな仕事をしているのか

  • どんなサービスを提供しているのか

  • どんな資格や経歴があるのか

  • どんな実績があるのか

  • 誰を対象にしているのか

こうした情報です。


もちろん、どれも必要な情報です。


これらがなければ、そもそも何をしている人なのかが分かりません。


ただ、ここまでの情報から分かるのは、主に「何屋さんなのか」です。


同じ仕事をしている人が何人もいる中で、

なぜ、その人なのか。

そこまでは、まだ見えてきません。


たとえば、同じコンサルタントでも、数字を伸ばすことに強い人もいれば、その人の価値観を整理することに強い人もいます。


同じカメラマンでも、美しく撮ることを重視する人もいれば、その人らしさが自然ににじむ瞬間を大切にする人もいます。


表面的には同じ仕事をしていても、大切にしていることも、見ているものも、届けたい体験も違います。


その違いが、その人らしさをつくっています。




AIに必要なのは、肩書きや経歴だけではない


AIに自分らしい文章を作ってもらいたいなら、「何をしているか」だけでなく、その奥にある情報も共有する必要があります。


たとえば、

なぜ、その仕事をしているのか。

仕事を通じて、何を実現したいのか。

顧客と、どんな関係を築きたいのか。

仕事をするときに、何を大切にしているのか。


逆に、どんな仕事の進め方には違和感を持つのか。


どんなときに、自分らしく仕事ができていると感じるのか。


こうした情報です。


「何をしているか」が同じでも、「なぜそれをするのか」が違えば、選ぶ言葉も変わります。


大切にしている価値観が違えば、同じ出来事を取り上げても、どこに注目するのかが変わります。


届けたい体験が違えば、お客様への語りかけ方も変わります。


つまり、AIに自分らしく表現してもらうためには、仕事内容だけではなく、その仕事をしている自分の背景まで共有する必要があるということです。




価値を伝える前に、その価値を発見できているか


ここで、もう一つ考えたいことがあります。


自分の価値を「伝わる形」にすることは大切です。


ただ、その前に確認する必要があります。


そもそも、自分の価値を自分自身が発見できているでしょうか。


まだ発見できていないものは、うまく言葉にすることも、AIに共有することもできません。


これはAIに限った話ではありません。


プロフィールでも、SNSでも、ホームページでも、自己紹介でも同じです。


伝え方をどれだけ工夫しても、伝える材料そのものが見えていなければ、その人にしかない価値は十分には表現できません。


だから私は、

発見することと、伝わる形にすることは別の工程

だと考えています。


まず、自分の中に何があるのかを発見する。


それを「自分はこういう人だから選ばれている」と定義する。


そして初めて、相手に伝わる言葉へ変えていく。


AIは、その最後の工程をとても強力に支援してくれます。


しかし、その前にある「何を伝えるのか」まで自動的に完成させてくれるわけではありません。




「自分が伝えたい自分」だけでも足りない


では、自分自身を深く振り返れば、自分の価値はすべて見つかるのでしょうか。


ここにも、もう一つ難しさがあります。


自分の価値は、自分の内側だけに存在しているわけではありません。


実際に、お客様からなぜ選ばれているのか。


ここにも、その人の価値が現れています。


たとえば本人は、

「丁寧に説明しているだけ」

と思っているかもしれません。


でも、お客様は、

「複雑なことを整理してもらえるから安心できる」

ことに価値を感じているかもしれません。


本人は、

「普通に話を聞いているだけ」

と思っている。


でも、お客様は、

「否定されずに話せるから、本音を話せる」

ことを理由に選んでいるかもしれません。


本人にとって自然にできることほど、本人は価値として認識しにくいものです。


だから、


お客様から言われた言葉。

選ばれた理由。

喜ばれた体験。

繰り返し評価されてきたこと。

紹介されたときに、どのように説明されていたのか。


こうした情報も、その人らしさを理解する重要な材料になります。


「私は何を大切にしているのか」という自分側からの理解と、「お客様はなぜ私を選んだのか」という他者側から見えた事実。


この両方を重ねることで、自分では当たり前すぎて見えていなかった価値が見えてきます。




自分が知らない自分は、AIにも共有できない


ここが、今回もっとも大切なところです。


AIは、私たちが渡した情報を材料にして考えます。


逆に言えば、

自分がまだ気づいていない自分は、そのままではAIに共有できません。


どれだけ高性能なAIを使っても、本人がまだ認識していない事実まで、正確な自己情報として知っているわけではありません。


だから、


「AIに自分のことをたくさん教えたのに、なぜか自分らしい文章にならない」


というとき、プロンプトの書き方だけを見直しても解決しないことがあります。


一度、

私は、AIにどんな「自分」を教えているのだろう。

と振り返る必要があります。


仕事内容や経歴ばかりを教えているのか。

価値観や仕事への想いまで共有しているのか。

お客様から実際に選ばれてきた理由まで入っているのか。

そして、その「選ばれる理由」を自分自身が把握できているのか。


ここまで見ていくと、「何か変」と感じていた理由が少しずつ見えてきます。




問いを増やせば、すべて分かるわけでもない


AIに質問してもらいながら自己理解を深める方法もあります。


これは、とても有効です。


「なぜこの仕事を始めたのですか」

「仕事で大切にしていることは何ですか」

「どんなお客様に喜ばれましたか」


こうした問いに答えていけば、自分についてAIに渡せる情報は増えていきます。


ただ、問いにも限界があります。


質問に答えるためには、自分の中にすでに認識できている材料が必要だからです。


「あなたの強みは何ですか」

と聞かれても、自分にとって当たり前すぎることは、強みとして出てきません。


「なぜ選ばれていると思いますか」

と聞かれても、本人がまだ気づいていなければ答えられません。


だから、自分を知るためには、


自分の内側を見ることと、他者との関係の中で現れた自分を見ること。


この両方が必要です。


AIとの対話によって自分の内側を掘り下げる。


そして、お客様からもらった言葉や、実際に選ばれた体験を振り返る。


必要であれば、第三者との対話を通じて、自分では見えていなかった共通点を探す。


そうやって初めて、自分という存在の解像度が上がっていきます。




AIに自分を知ってもらうことは、自分を知ることでもある


AIを使えば、文章を速く作ることができます。


SNS投稿も、自己紹介も、企画書も、プロフィールも、かなり短時間で形になります。


だからこそ、これから大切になるのは、

単に「AIを使えるか」だけではありません。


AIに何を渡せるか。


ここが重要になります。

自分が何をしているのか。

なぜ、それをしているのか。

何を大切にしているのか。

誰に、どんな変化を届けたいのか。

顧客とどんな関係を築きたいのか。


そして、

実際にお客様から、なぜ選ばれているのか。


ここまで整理されていれば、AIが扱える「自分」の材料は大きく変わります。


つまり、

AIに自分を深く知ってもらうことは、自分自身を深く知ることでもあります。


AIに自己紹介を渡したことで生まれた「何か変」という違和感。


それは、AIの使い方を改善する入口であると同時に、自分自身について、まだ言葉になっていないものを発見する入口にもなります。




「なぜ選ばれているのか」が分からなくても、不思議ではない


自分がなぜ選ばれているのか分からない人は、少なくありません。


自分にとって自然にできることほど、その価値には気づきにくいからです。


だから私は、実際に選ばれた体験や、お客様から喜ばれたこと、繰り返し評価されてきたことを、対話しながら一緒に振り返ります。


そして、


「なぜ、この人なのか」


を探し、「選ばれる理由」として定義していきます。


AIに自分らしく表現してもらいたければ、AIの使い方だけを磨けばよいわけではありません。


まず、自分の価値を発見する。


それを、自分の価値観や実際に選ばれた体験と照らし合わせながら定義する。


そして、その情報をAIと共有する。


発見する。

定義する。

共有する。

そして、表現する。


この順番が整えば、AIは単に「何をしている人か」だけではなく、


「なぜ、この人なのか」


まで踏まえて、言葉をつくるためのパートナーになっていきます。

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