「人を動かすマーケティング」から「人が動きたくなる文化」へ
- Yutaka Sato

- 11月15日
- 読了時間: 4分
──ダイレクトマーケティングを、私の感性で変換してみたら

はじめに
ある日、SNSで流れてきたマーケティングの広告を見かけました。 「この方法で売上が〇倍に」「たった3つのステップで集客が自動化」──どれも魅力的な言葉が並んでいました。 けれど、そこにあったのは「どう売るか」ばかりで、“どう届けたいか”という視点はほとんど見えませんでした。 もちろん、それが悪いわけではありません。 けれど、私が信じたいビジネスとは少し違うのです。 これまで関わってきたクライアント──正確に言えば、自分の想いを形にしたいと願う人たちは、売上や数字よりも、「どんな想いで届けたいか」を大切にしてきました。 だから私は、数字を動かす方法ではなく、心が動きたくなる流れをつくりたいと思うようになりました。
ダイレクトマーケティングの本質
ダイレクトマーケティング(DRM)は、「人の心の動きを理解し、行動を設計する」という点で、非常に優れた思想だと思います。 もともと私も、オリーブオイル事業時代からその考え方を実践してきました。 メルマガを2,600回発行し、反応率を高め、リピートや紹介を増やす。 それは間違いなく成果につながりました。 しかし同時に感じていたのは、“数字の上では成功しているのに、心が乾いていく感覚”でした。 売ることが目的になると、どこかで人を操作してしまうのです。 たとえば、開封率やクリック率を上げるために、本心ではないけれど反応が取れる言葉を使ってしまう。 その瞬間に、誰かの顔が見えなくなっていくような――そんな“心が乾く感覚”がありました。
扱い方ひとつで、マーケティングは変わる
ダイレクトマーケティングの本質は、悪ではありません。
ただ、その使い方によっては「反応を取る技術」になり、人の不安や欠乏を刺激する方向に傾きやすくなります。
でも本来、“行動を設計する”という思想は、人の幸せを後押しするために使うこともできるのです。
信頼や安心が積み重なるような流れにすれば、人は「動かされる」から「動きたくなる」へと変わります。
味語り®が見つけた答え
味語り®は、その本質を私の感性で変換しました。 不安を煽って行動させるのではなく、共感や感謝が自然に行動につながる構造へ。 その流れは、「出会い → 信頼 → 感動 → 循環」。 そして、その信頼はテクニックで築くものではありません。 どんなときも“在り方”を一貫して発信し続けること、小さな約束を誠実に積み重ねること。 その姿勢こそが、信頼を生み、やがて本物の感動へとつながっていきます。 信頼があるからこそ、感動が本物になります。 そして、その感動が“誰かに伝えたくなる想”を生むのです。 人は、誰かに説得されて動くのではなく、「この想いが好きだな」と思った瞬間に自ら動きます。 その“動きたくなる状態”をデザインするのが、私にとっての価値観統合マーケティング®です。
信頼が広がる文化へ
マーケティングはもう、「売るための技術」ではなくていいと思います。 これからは、信頼がめぐる文化として成熟させていく時代です。 そして、この「信頼が広がる文化」をつくることは、これからのAI時代においても、最も重要な戦略だと私は感じています。 AIが行動データをもとに“推薦”を行う世界では、ますます人は「自分の本当の気持ち」を探し始めるでしょう。 そのとき人が選ぶのは、テクニックで反応を取る言葉ではなく、「この想いが好きだ」と感じられる誠実な在り方です。 だからこそ、マーケティングを“売る技術”から“共鳴する文化”へと高めていく。 それが、AIに意味を奪われるのではなく、AIと共に価値を広げていく道だと思います。 数字を上げるよりも、信頼を積み上げたい。一度の成約よりも、長く続く関係を育てたい。 その思いから生まれたのが、味語り®の紹介制度です。 紹介とは、「この人にも届いてほしい」という思いやりの伝播。それが自然に起こる状態を整えることこそ、私がマーケティングという言葉に込めたい意味です。
終わりに
私は今でもマーケティングを学び続けています。 でももう、“どうすれば売れるか”ではなく、“どうすれば心が動きたくなるか”を学んでいます。 なぜなら、それこそがAIには代替できない、人間らしさの核(=信頼と共鳴)に触れる行為だからです。 経済の仕組みを変えることはできなくても、文化のあり方なら変えられる。 誠実さを軸にしたビジネスが増えたとき、きっと社会全体が、もっとやさしく循環するはずです。


