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価値観から始まる、未来型ブランディングの流れ

  • 執筆者の写真: Yutaka Sato
    Yutaka Sato
  • 10月11日
  • 読了時間: 5分

──「源泉・仕組み・循環」でつくる、事業の本質的成長とは?


価値観から始まる未来のブランド設計

「自分の価値観で事業をしてこそ、人はもっと輝ける。」


これは私自身が、人生のどん底から立ち上がる中で実感してきた確信です。しかし、価値観を軸にビジネスを始めるだけでは持続も拡大もしない。だからこそ私は、次の3つの視点を“ブランディングの未来型モデル”として明確にしました。




🌱1. 源泉:価値観がすべての出発点



どんなに優れた商品やサービスでも、「なぜそれをやっているのか」が伝わらなければ、人の心は動きません。その“なぜ”こそがあなたの価値観です。価値観を言語化することは、自分自身の源泉に立ち返ること。過去の経験、痛み、こだわりを掘り下げ、「何を大切にして生きているのか」を見つけることで、あなたの事業は“唯一無二の存在”になります。


ここで注意したいのは、バリュー(Value)という言葉の意味です。一般的にバリューは、企業が世の中に対して約束することや、従業員に求められる行動指針・判断基準を示すものとされ、ミッションやビジョンを実現するための具体的な行動基準や価値観を指します。個人の深層価値観とは異なり、組織全体が共有する価値基準であり、実際にどのような行動が推奨されるかを示す行動指針と対になっています。味語り®では、これら個人の深層価値観と事業の理念を橋渡しする「統合価値観」として位置づけています。個人事業や小規模チームでは統合価値観がそのままバリューとして機能しますが、組織が大きくなると経営者個人だけでなく、従業員全員で共有できる文化的価値観が必要になります。


この源泉の作業では、自分史を振り返り「心が震えた瞬間」や「貫いてきた信念」を棚卸しし、「なぜこの事業をしているのか」「どんな未来を描いているのか」をMission/Vision/Valueの形で整理していきます。自分の心の奥にある灯火をすくい上げる作業は時間と勇気を要しますが、そこにこそブランドの核が宿ります。




🛠️2. 仕組み:価値観をかたちにする設計



価値観は言葉だけでは広がりません。共感を生み、届けたい相手に届くためには「仕組み」が必要です。これは単に販売導線を整えるだけではなく、あなたの価値観を起点に、誰に何をどう届けるかを体系的に設計することです。


味語り®の価値観統合マーケティング®では、統合価値観をもとに、ペルソナ(WHO)・提供価値やベネフィット(WHAT)・行動設計(HOW)を構築し、それらを一貫した物語=USPストーリーへとまとめます。行動設計では想起・体験・コミュニケーション・導線の各要素を整え、「売り込み感ゼロ」で自然に選ばれる状態を目指します。


ブランディングは単なる認知拡大やロゴ作成ではなく、企業や商品そのものを唯一無二の存在として市場に位置づける長期戦略です。ブランド・パーソナリティは直接的な言葉で伝えるものではなく、顧客がブランドと接触した体験の中から自然と感じ取ってもらうものです。そのためには、広告やWebサイト、店舗など各顧客接点におけるデザイン要素や世界観に統一感を持たせることが重要であり、広告で受けた印象と実際に店舗で受ける印象が同じでなければなりません。さらに、ブランド・コミュニケーション戦略を検討する際には、顧客がブランドと出会ってから購入に至るまでに触れる全ての顧客接点を洗い出し、それぞれの特性に応じてどのような情報や体験を提供するか、その全体像を設計する必要があります。複数の接点で一貫したブランドの提供価値に触れ続けてもらうことによって、顧客の心にブランドのマインド・シェアを高め、長期的に強固なブランドイメージを築くことができます。


また、ブランドの提供価値を社外に発信するだけでなく、社員にも深く理解してもらうことが不可欠です。顧客接点で一貫したブランド体験を提供するためには、社員自身がブランドの価値観を理解し、行動で体現して初めて説得力が生まれます。ブランドは外向きのコミュニケーションと同じくらい、社内への浸透施策を重視すべきなのです。




🔁3. 循環:共感と感謝が広がる“仕組みの結果”



本質的なブランディングのゴールは、認知や売上だけではありません。あなたの価値観に共感した人が集まり、その人たちとエネルギーが循環する状態です。統合価値観をもとにしたブランドは、適切な人に価値が届き、彼らが幸せになる。その幸せがあなたへの感謝として返ってきます。この循環こそが価値観でつながるブランドの本質であり、事業の持続的成長の源です。


従来型のマーケティングは「売れる仕組み」を作ることにフォーカスしがちですが、ブランディングは「売れ続ける仕組み」を作ること。広告や一時的なキャンペーンに頼るのではなく、共感→行動→紹介が自然に起こる設計を重視し、ファンがファンを呼び込む状態を目指します。一人ひとりの体験と感情がブランドを育て、その人が別の誰かに語り継いでくれることで、コミュニティは広がります。


循環を生み出すためには、顧客との対話やフォローアップ、コミュニティづくり、感謝を伝える仕掛けが欠かせません。人は自分が大切にされていると感じるブランドを応援したくなり、その輪が広がるほどにブランドは強固になります。




💡おわりに



私は今、人生そのものを味わい直すように、「価値観から始めるブランド設計」を届けています。それは、自分の存在を認められなかった過去を越え、今この瞬間を「生きててよかった」と言える未来を一緒につくる旅です。ブランド設計の旅路は、源泉(価値観)→仕組み(設計)→循環(共感と感謝)という三つの流れを通じて進みます。ブランド構築は一朝一夕ではなく、自分と向き合い、相手と向き合いながら育んでいくものです。


価値観を明確にし、それを体験やストーリーに落とし込み、共感の循環を生むこと。これが未来型ブランディングの本質です。あなたらしさを軸にしたブランディングから一貫して設計された世界観は、どこから触れても深く入っていける統一された体験を生み、そこで出会う人々に「このブランドなら間違いない」と感じてもらう力を与えます。誰もが自分の輝きを思い出し、感謝と共感の循環の中で生きられる社会を、これからもブランドを通して創っていきたいと思います。

 
 
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