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経営者に必要なのは、未来を当ててもらうことではなく、判断軸を持つこと

  • 執筆者の写真: Yutaka Sato
    Yutaka Sato
  • 5月17日
  • 読了時間: 6分

未来を当てるより、未来を選ぶための判断軸を持つ

先日、ある場所で「運命鑑定」を受ける機会がありました。


そこで言われたのは、家族を大切にすること、言葉に気をつけること、身近な人の良いところを見ること。


もちろん、それ自体はとても大切なことだと思いました。


家族を大切にすることも、言葉に気をつけることも、人の良いところを見ることも、人として忘れたくない姿勢です。


ただ、帰り道にふと、こんな違和感が湧いてきました。


これは本当に、私固有の判断軸になる言葉なのだろうか。


最初にお伝えしておくと、この記事は占いそのものを否定するものではありません。


占いが、自分の気持ちを整理するきっかけになることもあると思います。


不安なときに、外側の言葉に支えられることもあります。


普段とは違う角度から、自分を見つめ直す補助線になることもあるでしょう。


ただ、経営判断の中心に置くには、少し危うさもあるのではないか。


今回は、そのことを整理してみたいと思います。


占いの言葉は、一般論としては正しいことが多い


占いで言われる言葉には、たしかに大切なものが多くあります。


たとえば、

「言葉に気をつける」

「家族を大切にする」

「感謝を忘れない」

「焦って判断しない」

「人の良いところを見る」


どれも間違っていません。


むしろ、人として大切にしたいことだと思います。


けれど、経営判断に必要なのは、正しい一般論だけではないのだと思います。


経営者に必要なのは、自分の事業にとって一貫性のある判断基準です。


ここには、大きな違いがあります。


誰に届けるのか。

何を届けるのか。

どこまで引き受けるのか。

何をやらないのか。

誰とは距離を置くのか。

どの約束を守るのか。


こうした判断は、一般的に正しい言葉だけでは決めきれません。


その人自身の価値観、事業の約束、顧客との関係性の中で、丁寧に決めていく必要があります。




「切り言葉を使わない」は、本当に常に正しいのでしょうか


今回、印象に残った言葉の一つに、

「切り言葉や捨て台詞を使わない」

というものがありました。


たしかに、相手を傷つけるための言葉は使わない方がいいと思います。


怒りに任せて関係を断ち切る言葉も、できれば避けたいものです。


ただ、それを絶対的なルールにしてしまうと、別の問題が起きることもあります。


自分の在り方を守るためには、必要に応じて相手と距離を取ることもあります。


関係を続けることで、自分をすり減らしてしまうなら、

「ここから先は関われません」

と伝える必要が出てくることもあります。


つまり、ジャッジしないことと、離れないことは違います。


相手を否定しないことと、関係を続けることも違います。


大切なのは、切る言葉を一切使わないことではないと思います。


相手を攻撃するための捨て台詞と、自分を守るための境界線の言葉を分けること。


ここを分けて考える必要があるのだと思います。




経営判断を外側に預けると、一貫性が失われやすくなる


経営者の判断には、必ず責任が伴います。


だからこそ、判断の根拠を外側に置きすぎると、振り返りが難しくなります。


たとえば、

「止めた方がいいと言われたからやめる」

「相性が悪いと言われたから距離を置く」

「今は進める時期だと言われたから進める」


そうした言葉が、考えるきっかけになることはあると思います。


けれど、それが最終判断の根拠になりすぎると、自分の判断として振り返りにくくなります。


本来であれば、

「この判断は、自分の価値観と合っていたか」

「顧客への約束と矛盾していなかったか」

「事業の構造として無理がなかったか」

「次に活かせる学びは何だったか」


と振り返る必要があります。


でも、外側の言葉を最終判断にしてしまうと、良くも悪くも、理由が外側に逃げてしまいます。


そこに、経営判断としての危うさがあるのだと思います。




経営者に必要なのは、未来を当ててもらうことではない


経営者にとって本当に必要なのは、未来を当ててもらうことではないのかもしれません。


むしろ必要なのは、


自分は何を大切にしているのか。

何のためにこの事業をしているのか。

どんな人に、どんな価値を届けたいのか。

何を引き受け、何を引き受けないのか。


これを言葉にできることだと思います。


未来が見えないからこそ、判断軸が必要になります。


不安があるからこそ、外側の答えではなく、内側の基準が必要になります。


経営者にとっての本当の支えは、「当たる言葉」ではなく、迷ったときに戻れる言葉なのかもしれません。




占いは補助線にはなっても、判断軸にはしない


占いを完全に否定する必要はないと思います。


ときには、自分の気持ちを見直すきっかけになります。


立ち止まる時間になることもあります。


普段は見ない角度から、自分を眺める補助線になることもあるでしょう。


ただし、それはあくまで補助線です。


最終的に決めるのは、自分の価値観であり、事業の約束であり、現実の状況であり、関わる人への責任です。


もし占いの言葉を受け取るなら、


「どうすればいいか」

をそのまま決めるためではなく、

「自分はなぜ、この言葉に反応したのか」

を見るくらいが、ちょうどよいのかもしれません。


外側の言葉に従うのではなく、その言葉に反応した自分の内側を見る。


そこに、本当の判断軸につながるヒントがあるように思います。




外側の答えではなく、内側の判断軸へ


今回の体験を通じて、改めて感じたことがあります。


経営者が本当に必要としているのは、外側から与えられる正解ではなく、自分の中にある判断軸を言葉にすることではないでしょうか。


それが言葉になっていないとき、人は外側の言葉に頼りたくなります。


占い。

成功者の助言。

流行のマーケティング手法。

誰かの正解。


もちろん、それらから学べることはあります。


ただ、最終的に大切なのは、自分の在り方と一貫する判断ができるかどうかです。


事業は、毎日小さな判断の積み重ねでできています。


その判断の根っこにあるものが曖昧なままだと、その時々の言葉や空気に振り回されやすくなります。


だからこそ、自分が何を大切にしているのかを言葉にすること。


その価値観を、事業の約束や顧客との関係性につなげていくこと。


そこに、経営者が自分の未来を選んでいくための土台があるのだと思います。


未来を当ててもらうことではなく、未来を選ぶための言葉を持つこと。


経営に必要なのは、外側の答えに従うことではなく、自分の内側にある判断軸に戻れることなのかもしれません。

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