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お客様の声は、評価ではなく「約束が体験された記録」である

執筆者の写真: Yutaka Sato
Yutaka Sato
8月16日
読了時間: 7分
向かい合って対話する二人と、会話を書き留めるためのノート

お客様から、


「よかったです」

「お願いしてよかったです」

「とても満足しました」


という声をいただけるのは、提供者にとって嬉しいものです。


自分が届けたものを喜んでもらえたと分かれば、これまで続けてきた仕事への自信にもつながります。


ただ、その声をホームページやSNSに掲載しても、なかなか次の依頼につながらない場合があります。


それは、お客様の満足度が足りないからではありません。


次のお客様が知りたい情報まで、十分に見えていないからです。


以前の記事「約束は、選ばれた後の体験で証明される」では、発信した約束が本当だったかどうかは、選ばれた後の体験によって確かめられると書きました。


では、その約束が実際にどのような体験として届いたのかは、どこから分かるのでしょうか。


その一つが、お客様の声です。


お客様の声は、満足度を高く見せるための評価ではありません。


提供者が掲げた約束が、どのような体験として受け取られたのかを残す記録です。




「よかったです」だけでは、自分に合うか判断しにくい


次のお客様が知りたいのは、満足した人がいるという事実だけではありません。


自分と似た悩みを持っていた人なのか。


どのようなサービスを受けたのか。


何が変化のきっかけになったのか。


その結果、何ができるようになったのか。


こうした背景まで見えて、初めて自分との接点を見つけられます。


たとえば、同じ「お願いしてよかったです」という声でも、


「考えていることをうまく言葉にできず、発信するたびに内容が変わっていました」


という利用前の状態が分かれば、同じ悩みを持つ人は自分との共通点を感じられます。


さらに、


「対話を重ねる中で、バラバラだった経験や想いが一つにつながりました」


「自分が何を大切にしているのかが言葉になり、発信の軸ができました」


という体験や変化まで見えれば、


「この人に依頼すると、どのような時間を過ごし、どのような状態を目指せるのか」


を具体的に想像できます。


特に、コンサルティングやコーチング、カウンセリング、デザイン、講師業などの無形サービスは、購入前に完成品を確認できません。


だからこそ、過去のお客様がどのような体験をしたのかが、次のお客様にとって大切な判断材料になります。




お客様の言葉が、約束を証明する


ここでいう「約束」とは、必ず成果を出すと保証する言葉ではありません。


誰に対して、どのような変化や体験を届ける存在なのかを示すものです。


たとえば、提供者が、


「安心して本音を話せる場をつくります」


と伝えていたとします。


実際にお客様から、


「否定される心配をせず、本音を話せました」


という声が届けば、掲げていた約束が体験として届いていたと分かります。


「頭の中にあるものを整理します」という約束に対して、


「散らばっていた経験や考えが、一つにつながりました」


という声が届く。


「迷った時に戻れる判断軸をつくります」という約束に対して、


「自分で選択する時の基準ができました」


という声が届く。


提供者が伝えた言葉と、お客様が実際に語った体験がつながった時、約束には根拠が生まれます。


提供者が自分で「私にはこの強みがあります」と伝えるだけでは、どうしても自己評価に見えます。


一方で、お客様が体験を通して同じ価値を語っていれば、それは実際に届いた価値として受け取ってもらえます。




自分では気づいていない強みも表れる


お客様の声は、次のお客様のためだけにあるものではありません。


提供者自身が、自分の本当の強みを知るための記録にもなります。


自分にとって自然にできることは、強みとして認識しにくいものです。


相手が話し終わるまで待つこと。


言葉になっていない感覚を丁寧に拾うこと。


一見関係のなさそうな経験から、共通する意味を見つけること。


迷った時に戻れる言葉へ整えること。


提供者にとっては当たり前でも、お客様にとっては大きな価値になっている場合があります。


「安心して話せた」

「自分でも気づいていなかった想いが見えた」

「頭の中にあったものがつながった」

「自分の言葉として納得できた」


こうした表現が複数のお客様の声に繰り返し現れているなら、偶然とは考えにくいでしょう。


そこには、その人だから提供できる関わり方や、選ばれている理由が表れています。


強みは、自分だけで考えて決めるものではありません。


自分が自然にしていることと、お客様が価値として受け取ったものが重なる場所に見えてきます。




お客様の声を見直す四つの問い


すでにいただいているお客様の声を見直す時は、次の四つに分けて整理すると、体験の流れが見えやすくなります。


一つ目は、利用する前の状態です。


お客様は、どのような悩みや迷いを抱えていたのか。


何を自分だけでは整理できずにいたのか。


なぜ、そのタイミングで依頼しようと思ったのか。


二つ目は、利用中の体験です。


どのような言葉や関わり方が印象に残ったのか。


何に安心し、どの瞬間に考えが動き始めたのか。


何が変化のきっかけになったのか。


三つ目は、利用後の変化です。


何が分かるようになったのか。


何を決められるようになったのか。


行動や気持ち、周囲との関係はどのように変わったのか。


四つ目は、提供者ならではの価値です。


他の選択肢ではなく、なぜこの人を選んだのか。


どのような強みを感じたのか。


どのような人に勧めたいと思ったのか。


この四つが見えると、お客様の声は単なる感想から、体験の流れが分かる記録へと変わります。




満足度の表示から、選択を助ける情報へ


お客様の声の扱い方を、BeforeとAfterで整理すると、違いが分かりやすくなります。


Beforeでは、


「満足してもらえた」

「高く評価してもらえた」

「よい感想を掲載できた」


というところで終わります。


これだけでも安心材料にはなりますが、次のお客様には、自分との共通点や利用後の姿が十分に伝わりません。


Afterでは、


利用前の悩みが見える。


体験の過程が見える。


変化のきっかけが見える。


利用後に得られたものが見える。


そして、提供者のどの強みが体験されたのかが見える。


そこまで分かると、次のお客様は、


「今の自分と状況が似ている」

「自分が求めている関わり方に近い」

「この人なら安心して相談できそうだ」


と判断しやすくなります。


評価の高さを見せることから、自分に合うかを判断できる情報へ。


この視点の変化が、お客様の声の役割を大きく変えます。




一つの声だけで、すべてを決めない


もちろん、一つのお客様の声だけで、自分の強みや約束を決める必要はありません。


お客様が感じる価値は、それぞれの状況や目的によって異なります。


短い感想にも、その時に感じた喜びや感謝が込められています。


大切なのは、強い表現を一つ見つけて、そのまま自分の約束にすることではありません。


複数のお客様の声を並べた時に、どのような体験や価値が繰り返し語られているのかを見ることです。


何度も現れる言葉や体験には、自分が継続して届けられている価値が表れます。


それは、これからも大切に残したい強みであり、次のお客様に伝える約束を考える際の根拠にもなります。


お客様の声は、自分が本当に渡している価値を教えてくれる


お客様の声は、満足度を高く見せるためのものではありません。


利用する前に何に悩んでいたのか。


どのような体験が変化のきっかけになったのか。


その結果、何が変わったのか。


そして、提供者のどの強みが体験されていたのか。


そこまで見えて初めて、お客様の声は、掲げた約束がどのように届いたのかを残す記録になります。


その記録は、次のお客様が自分に合うサービスなのかを判断する助けになります。


同時に、提供者自身にも、自分が本当に渡している価値と、なぜ選ばれているのかを教えてくれます。


伝える言葉を強くする前に、すでに受け取っている声を見直してみる。


そこには、自分だけで考えていても見えなかった、選ばれる理由が残されているはずです。

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