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「選ばれる理由」が分からない会社ほど、次の一手がギャンブルになる

  • 執筆者の写真: Yutaka Sato
    Yutaka Sato
  • 11 分前
  • 読了時間: 8分
選ばれる理由が分からないと次の一手がギャンブルになる

経営をしていると、次々に「次の一手」を考えることになります。


広告を出したほうがいいのか。

SNSをもっと頑張ったほうがいいのか。

新しい商品をつくったほうがいいのか。

価格を見直したほうがいいのか。

ホームページを作り直したほうがいいのか。

紹介を増やす仕組みをつくったほうがいいのか。


調べてみれば、どの施策にも成功事例があります。


広告で売上が伸びた会社もあれば、SNSから問い合わせが増えた人もいる。紹介だけで事業が成り立っている人もいます。


だからこそ、迷います。


「自分たちは、次に何をすればいいのだろう」


こうした迷いが続くと、もっとマーケティングを勉強しなければいけないのではないか、もっと新しい施策を知らなければいけないのではないか、と考えることもあると思います。


もちろん、知識や施策を知ることは大切です。


けれど、次の一手を決められない理由は、マーケティングの知識が足りないからとは限りません。


その前に、一つ確認してみたいことがあります。


今のお客様は、なぜ他ではなく、あなたの会社やサービスを選んでいるのでしょうか。


もし、この問いに明確に答えられないとしたら。


次の一手に迷ってしまう理由は、施策を知らないことではなく、施策を選ぶための判断の根拠がないことにあるのかもしれません。




成功したのに、なぜ成功したのか分からない


たとえば、新しく広告を出したとします。

その広告から問い合わせが増え、売上も伸びた。

数字だけを見れば、成功です。


では、何が良かったのでしょうか。


広告を出した媒体が良かったのでしょうか。

広告で使った言葉が響いたのでしょうか。

価格が魅力的だったのでしょうか。

商品そのものが評価されたのでしょうか。


あるいは、以前から発信を見ていた人が、広告をきっかけに申し込んだのでしょうか。


「なぜ選ばれたのか」が分からなければ、売上が増えたという結果は分かっても、何がその結果につながったのかを判断することができません。


これは、失敗した場合も同じです。


広告を出したけれど、思ったような反応がなかった。


そのとき、


広告という手段そのものが合わなかったのか。

媒体が違ったのか。

届ける相手が違ったのか。

伝えた言葉がズレていたのか。

それとも、お客様が本当に求めている価値と、こちらが伝えている価値がズレていたのか。


ここが分からなければ、

「広告はうちには向いていなかった」

という結論だけが残ってしまうかもしれません。


私は、経営において本当に怖いのは、失敗することそのものではないと思っています。


経営には不確実性があります。


どれだけ考えても、やってみなければ分からないことはあります。


だから、仮説を立てて試してみることは必要です。


本当に怖いのは、

成功しても失敗しても、なぜそうなったのか分からないことです。




「ギャンブル」とは、失敗する可能性があることではない


ここで、この記事で使っている「ギャンブル」という言葉の意味を整理しておきたいと思います。


私は、新しいことに挑戦すること自体をギャンブルだとは考えていません。


新しい広告を試す。

SNSの発信方法を変える。

商品を改善する。

価格を見直す。


こうした試行錯誤は、事業を続けていくうえで必要なものです。


仮説を立て、試し、結果を確認する。

そして、その結果から次の仮説をつくる。


これは「賭け」ではなく「検証」です。


問題になるのは、何を残し、何を変えるのかという判断軸を持たないまま、施策そのものを次々と入れ替えてしまうことです。


広告で結果が出なかったから、SNSへ。

SNSで結果が出なかったから、交流会へ。

交流会で結果が出なかったから、紹介へ。

売れないから値下げする。

それでも売れないから、新商品をつくる。


もちろん、その中のどれかが当たることもあります。


でも、なぜ当たったのかが分からなければ、その成功を次に活かすことができません。


すると、こんな循環が生まれます。


選ばれる理由が分からない

判断する基準がない

とりあえず施策を試す

結果だけを見る

なぜその結果になったのか分からない

別の施策を試す


これが繰り返されると、一つひとつの施策が「検証」ではなく「賭け」に近づいていきます。


次の一手がギャンブルになるのは、未来が分からないからではありません。


結果から学習するための基準がないからです。




「選ばれる理由」は、強みだけでは見えてこない


では、自社の「選ばれる理由」とは何でしょうか。


この言葉を聞くと、

「他社より優れているところは何か」

と考える人も多いと思います。


専門性。

実績。

機能。

価格。

技術。

独自の商品やサービス。


もちろん、それらがお客様から選ばれる理由になることはあります。


ただ、実際に人が会社やサービスを選ぶ理由は、それほど単純ではありません。


「この人なら任せられそう」

「この会社の考え方が好きだ」

「自分たちのことを分かってくれそう」

「ここなら安心して話せる」


そんな理由で選ばれることもあります。


提供している機能だけではなく、これまでどんな姿勢で仕事をしてきたのか。

何を大切にしているのか。

お客様にどんな体験を届けているのか。

そして、お客様自身がそこにどんな価値を感じているのか。


それらが重なったところに、選ばれる理由が見えてきます。


だから私は、「選ばれる理由」を考えるとき、自分たちの中だけを見て強みを探せばよいとは考えていません。


自分たちが大切にしてきたことと、お客様が受け取っている価値が重なる場所。


そこを見ることが大切なのだと思っています。




選ばれる理由が分かると、施策を見る目が変わる


自社がなぜ選ばれているのか。


その仮説が見えてくると、次の一手を考えるときの問いが変わります。


「広告を出したほうがいいだろうか」

だけではなく、


「広告を使うなら、自分たちが選ばれている理由をどう伝えればいいだろうか」

と考えられる。


「値上げしても大丈夫だろうか」

だけではなく、

「この価格変更は、お客様が感じている価値との関係でどう見えるだろうか」

と考えられる。


「新商品をつくったほうがいいだろうか」

だけではなく、

「この新商品は、自分たちが選ばれている理由をより強くするものだろうか」

と考えられる。


すると、広告を出すか出さないか、値上げするかしないか、新商品をつくるかつくらないかという二択だけではなくなります。


「何をするか」の前に、

「なぜ、それをするのか」

を考えられるようになります。


ここに、経営判断の根拠が生まれます。




選ばれる理由は、未来を当てるための答えではない


ただし、選ばれる理由が分かれば、すべての経営判断が正しくなるわけではありません。


ここは、とても大切なところです。


どれだけ自社を理解していても、新しい施策が成功する保証はありません。


市場は変わります。

お客様も変わります。

競合も変わります。

予想していなかった出来事が起きることもあります。


だから、「選ばれる理由」は未来を当てるための答えではありません。


むしろ私は、未来が分からないからこそ必要なものだと思っています。


「自分たちは、こういう理由で選ばれているのではないか」

という仮説がある。


その仮説をもとに施策を考える。

実行する。

結果を見る。


そして、

「やはり、ここが評価されていたのか」

「ここは自分たちが思っていたほど重要ではなかったのか」

「別の価値が選ばれる理由になっていたのかもしれない」

と考える。


すると、成功も失敗も、次の判断材料になります。


一回一回の施策が、単発で終わらなくなるのです。


ギャンブルから、検証へ。


私は、これが「選ばれる理由」を把握する大きな意味の一つだと思っています。




あなたのお客様は、なぜあなたを選んだのでしょうか


もし今、


広告を出すべきか。

SNSを頑張るべきか。

商品を変えるべきか。

価格を変えるべきか。


そんな「次の一手」に迷っているなら、施策を探す前に、一度立ち止まって考えてみてもよいかもしれません。


問いは、

「御社の強みは何ですか?」

ではありません。


「今のお客様は、なぜ他ではなく、あなたを選んだのでしょうか?」


すぐに答えられなくても構いません。


むしろ、この問いに答えられないこと自体が、これまで次の一手に迷ってきた理由を教えてくれることもあると思います。


選ばれる理由を言葉にすることは、単に魅力的なキャッチコピーをつくることではありません。


これから何を残し、何を変えるのか。

何を試し、その結果から何を学ぶのか。


そのための経営判断の根拠をつくることでもあります。


未来を完全に予測することはできません。


それでも、自分たちなりの根拠を持って一歩を踏み出すことはできます。


そのとき、次の一手は、

「当たるか、外れるか」の賭けではなく、

自分たちが選ばれている理由を確かめるための一手に変わっていくのだと思います。

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