紹介は、「誰を思い出せばいいか」が見えたときに動き出す


「どんな人を紹介したらいいですか?」
そう聞かれたとき、相手がすぐに誰かを思い浮かべられるかどうかは、紹介の可能性を左右します。
私は、無形商材ビジネスの中でも、ペルソナの課題やニーズ、理想の未来を言葉にするのが難しいビジネスのブランド設計をしています。
そうした事業では、自分の価値を伝えるだけでなく、「どんな人を紹介してほしいのか」を伝えることにも難しさがあります。
紹介をお願いしても、相手の頭に具体的な人が浮かばないことがあります。
そのとき、紹介者の関心が薄いとは限りません。誰を思い出せばよいのか、その手がかりがまだ見えていないのかもしれません。
属性だけでは、紹介する人が浮かびにくい
たとえば、「小規模な会社を紹介してください」と伝えても、その言葉だけでは、どんな会社を思い浮かべればよいか分かりにくいです。
紹介者は、自分の知り合いの顔を思い浮かべながら、「この会社をつなげたらよいのだろうか」と考えます。
けれど、会社の規模だけでは、どんな場面で支援が必要なのかまでは見えてきません。
必要なのは、どんな人や会社かに加えて、どんな困りごとが外から見えるのかを伝えることです。
二人の仕事の間に、三つの接点が見えた
あるとき、ブランドや伝え方を整える支援者と、企業の制作物に関わる支援者の間に、どんな接点が生まれそうかを考えました。
一つ目は、企業が制作物をつくろうとしているものの、その前に「何を伝えるのか」「ブランドの方向性をどうするのか」が整理できていない場面です。
制作に入る前に、伝える内容やブランドの軸を整える支援が役立つ可能性があります。
二つ目は、その整理を終えた後です。
内容や方向性が見えたら、実際の制作は、もともと企業の制作物を支援している人へ戻すことができます。
上流の整理から制作へ、一方通行ではなく仕事が循環する形です。
三つ目は、企業を支援する側自身にも、ブランドや発信の軸を整理する余地があるかもしれない、ということでした。
社内に担当者がいないから人手を補うのではなく、担当者が動きやすくなるように、伝える内容や方向性を整える支援です。
この話では、「この二人を一度つなげればよい」というだけでなく、顧客企業、制作の担当者、支援者本人の間に、複数の接点が見えてきました。
実際に二人がつながるかどうかが決まっていなくても、仕事の流れを考えることで、ほかの人や企業との接点まで見えてくることがあります。
変化を先に見る人に目を向ける
このような接点を見つけるには、見込み客本人だけを探すのではなく、その人の変化や困りごとを先に目にする人にも目を向けます。
制作物をつくりたいという相談を受けた人なら、「何を伝えるかがまだ定まっていない」という状態に気づくことがあります。
社内の担当者とやりとりしている人なら、方向性が見えず、発信や制作が止まりがちな様子に気づくこともあります。
そうした人に「どんな会社を紹介してほしいか」だけでなく、「どんな状態を見たときに、誰を思い出してほしいか」を伝える。
紹介者が日常の中で気づける手がかりをつくることが大切です。
詳しく整理してから、思い出す一言にする
紹介者が思い出しやすい言葉をつくるには、まず対象者のことを具体的に整理します。
どんな人や会社なのか。外から見える症状や行動は何か。本人はどんな言葉を口にしそうか。
つながった後にどんな変化が起きるのか。そして、紹介者が安心してつなげられる理由は何か。
そこまで考えてから、最後に思い出す一言へまとめます。
たとえば、「ブランドに課題がある会社」より、「制作に入りたいけれど、何を伝えるかで止まっている会社」の方が、具体的な場面を想像しやすくなります。
短い言葉を先につくるのではなく、相手の姿を詳しく捉えてから、紹介者が思い出しやすい一言にする。
解像度を高めるのは、説明を長くするためではありません。
つながらなくても、可能性は残っている
紹介を考えた二人が、すぐにつながるとは限りません。
相手の状況やタイミングによって、話が進まないこともあります。
けれど、その一度で可能性がなくなるわけではありません。
「制作に入りたいけれど、何を伝えるかで止まっている会社」という言葉が紹介者の中に残っていれば、別の企業とのやりとりで同じ状態に出会ったとき、誰かを思い出すかもしれません。
二人がつながらなくても、別の人や会社との接点が見えてくることがあります。
紹介設計は、特定の二人を無理につなぐことでも、紹介が成立すると約束することでもありません。
どんな人の、どんな変化や困りごとを見たときに、誰を思い出せばよいのか。
その可能性を、紹介者が見つけやすくすることです。
二人の仕事を重ねてみると、顧客との新しい接点だけでなく、仕事が循環する流れまで見えてくることがあります。
紹介者が思い出す一言をつくることは、人と人の間にある可能性を見つけやすくすることなのだと思います。



