top of page

「在り方」は、プロフィールに書くものではない

執筆者の写真: Yutaka Sato
Yutaka Sato
9月13日
読了時間: 6分

在り方は、 日々の選択に現れる

「自分らしい在り方を大切にしたい」

「自分の価値観に沿って仕事をしたい」


そんな言葉を目にする機会が増えました。


プロフィールや自己紹介にも、


「誠実であることを大切にしています」

「お客様に寄り添うことを大切にしています」

「自分らしく生きることを大切にしています」


といった言葉が並びます。


もちろん、それ自体が悪いわけではありません。


自分が何を大切にしているのかを言葉にすることは、自分を知ってもらうための大切な手段です。


ただ、私は「在り方」はプロフィールに書いた言葉だけで伝わるものではないと考えています。


むしろ、その人の在り方を感じるのは、もっと小さな場面です。


返信の仕方。

約束の守り方。

人への接し方。

言葉の選び方。

仕事を引き受けるとき。


反対に、仕事を断るとき。


こうした日々の選択の積み重ねから、


「この人は、こういう人なんだ」


という印象が少しずつつくられていきます。


在り方とは、自分がどう見られたいかではなく、何を基準に選び続けているかによって表れるものなのだと思います。




在り方とは、判断軸が行動に現れたもの


私が「判断軸」と呼んでいるものがあります。


判断軸とは、自分が何を大切にし、何を基準に選ぶのかを言葉にしたものです。


たとえば、


「対等な関係を大切にする」


という価値観を持っていたとします。


それを自分の中で大切に思っているだけなら、まだ内面にある価値観です。


けれど、その価値観を基準に、


一方的に自分の意見を押しつけない。


相手の意見も聞く。


立場が違っても、相手を尊重する。


自分が無理をして相手に合わせ続ける関係も選ばない。


そんな選択を繰り返すようになると、その価値観は行動として外に現れます。


つまり、


価値観

判断軸

選択

在り方


という流れです。


在り方という言葉は、とても抽象的です。


だから「どんな人でありたいか」を考えようとすると、理想の人物像をつくりたくなることがあります。


でも、在り方は演じるものではありません。


自分の判断軸に従って選択を積み重ねた結果として、自然に滲み出るものです。




在り方は、大きな決断よりも、小さな選択に現れる


私たちは「その人らしさ」というと、大きな決断や人生を左右するような出来事を想像しがちです。


けれど、仕事の中で相手が見ているのは、必ずしもそんな場面だけではありません。


問い合わせにどう返信するのか。

できないことを、できないと言えるのか。

ミスをしたときにどう対応するのか。

自分にとって不利なことでも、相手に必要なら伝えるのか。

契約前と契約後で態度が変わらないか。


こうした一つひとつの小さな選択にも、その人の判断軸は現れます。


ブランドというと、ロゴやデザイン、キャッチコピー、プロフィール、SNSでの発信など、「見えるもの」を整えることを想像する人も多いでしょう。


もちろん、それらもブランドを伝える大切な要素です。


けれど、どれだけ美しい言葉を掲げても、実際の行動がその言葉と違っていたらどうでしょうか。


「お客様に寄り添います」と書いてあるのに、契約した途端に対応が雑になる。


「誠実さを大切にしています」と書いてあるのに、都合の悪いことは説明しない。


それでは、言葉がかえって違和感を生むことになります。


反対に、掲げている言葉と日々の選択が一致していれば、その人が大切にしているものは少しずつ伝わっていきます。


だから私は、在り方は「何を書くか」以上に「何を選ぶか」に現れるものだと思っています。




私は「技術が一番高そうな人」を選んだわけではなかった


以前、私は自分のブランドのロゴをつくるために、デザイナーを探したことがあります。


当然、作品も見ました。


技術やデザインの方向性も比較しました。


けれど、最終的に私が選んだ理由は、単純に「この人が一番技術が高そうだから」ではありませんでした。


やり取りを重ねる中で感じたのは、


「この人なら、一緒にブランドを育てていけそうだ」


という感覚でした。


こちらの話をどう受け取るのか。

どんな問いを返してくれるのか。

何を大切にして仕事をしているのか。


一つひとつのやり取りから、その人の仕事への向き合い方が伝わってきました。


考えてみれば、私自身もサービスを選ぶとき、スペックだけで決めているわけではありません。


同じような商品やサービスが並んでいても、


「この人なら任せられる」

「この人とは合いそうだ」

「この人から買いたい」


と感じることがあります。


その判断材料になっているものの一つが、相手の在り方なのだと思います。


つまり、在り方は内面的なものだけではありません。


在り方そのものが、選ばれる理由になることがあります。




一貫した選択が、信頼として積み重なる


ただし、一度だけ丁寧に対応したからといって、それだけで信頼が生まれるわけではありません。


一度だけなら、誰でも取り繕うことができます。


何度か接する。

発信を読む。

実際に話してみる。

サービスを受けてみる。


そのたびに、同じ判断軸が感じられる。


言っていることと、やっていることが一致している。


契約する前と後でも、態度が変わらない。


そうした経験が積み重なることで、


「この人は、本当にこういう人なんだ」


という認識が生まれます。


私は、この積み重ねが信頼につながると考えています。


構造にすると、


判断軸

日々の選択

一貫性

信頼

ブランド


です。


ブランドは、自分が「私はこういう人です」と宣言しただけでは完成しません。


相手の中に、


「この人といえば、こういう人」


という認識が積み重なっていくことで、少しずつ形づくられていきます。


だからこそ、その土台にある判断軸が重要になります。




自分らしさを「うまく見せる」必要はない


「自分らしいブランドをつくりたい」


そう考えたとき、


「どう見せれば自分らしく見えるだろう」


と考えてしまうことがあります。


SNSでは何を発信すればいいのか。

どんな写真を使えばいいのか。

どんな言葉なら、自分らしさが伝わるのか。


もちろん、伝え方を考えることは必要です。


でも、その前に考えたいことがあります。


自分は、何を大切にしているのか。


そして、


それを基準に、何を選ぶのか。


ここが明確になっていれば、無理に「自分らしく見せよう」としなくても、日々の行動や言葉に少しずつ一貫性が生まれます。


その一貫性を、周囲の人が感じ取るようになります。


在り方とは、演じるものではありません。


判断軸に従って選択を積み重ねた結果として、自然に滲み出るものです。




ブランドは、「何を書くか」だけではつくられない


ブランドをつくるというと、言葉やデザインを整えることだと思われがちです。


それらはもちろん大切です。


ただ、その言葉の根拠になる判断軸がなく、日々の選択と一致していなければ、長く信頼を積み重ねていくことは難しくなります。


反対に、自分が何を大切にしているのかが分かり、その判断軸に沿った選択を積み重ねていけば、在り方は少しずつ周囲に伝わっていきます。


そして、


「この人なら任せられる」

「この人とは合いそうだ」

「この人だからお願いしたい」


という選ばれる理由につながっていきます。


プロフィールに何を書くかを考えることも大切です。


でも、その前に考えてみてもいいのではないでしょうか。


私は今日、何を基準に選んでいるだろう。


その小さな選択の積み重ねこそが、あなたの在り方をつくり、やがてあなたのブランドになっていくのです、

bottom of page